問題は「人」ではなく、「問題」が問題である

ネクサミではいつも

「課題は皆で考えよう」「個人のせいにせず、皆の課題として考えよう」と言いますが、

では一体どんなふうに考えればいいのか? 難しいですよね。

ここではその方法を2つご紹介しましょう。

今日は、1つ目「問題の外在化」についてです。

 

妖怪ウォッチというアニメ、皆さんご存知ですよね?

子供の日常で起こる多くの問題は、すべて妖怪の仕業で、

だからその妖怪を退治すれば問題は解決する。

というような趣旨、中々ファンキーなストーリーですね。

ではここで妖怪ウォッチのテーマソング、その歌詞を見てみましょう。

 

♪今日は朝から寝坊した

夢のなかでは起きたのに

どうして 朝は眠いんだ?

どうして 朝は眠いんだ?!

ドォワッハッハー!

よ・う・か・い・のせいなのね

そうなのね♪

 

かなり斬新です(笑)。

朝寝坊だけではありません。

女の子に振られてしまうことも、好き嫌いも、ウンチが臭いことも、

すべて妖怪のせいなのです。

 

子供の身の周りに起こる様々な「問題」を妖怪のせいにして、

みんなでその妖怪を見つけ、やっつけることで問題を解決する。

実はここに、心理学で言う「問題の外在化」という方法論が反映されているのです。

 

問題の外在化とは、「ナラティブ心理学」という分野で、

精神疾患を抱える患者に対して行われるセラピーの手法です。

 

有名な事例をご紹介しましょう。

遺糞症と診断された少年ニックと、その父母の事例です。

遺糞症は、してはいけない場所や状況で排便をしてしまう子供の心の障害のこと。

少年ニックは様々なセラピストの治療を受けてきましたが、症状は一向に改善しない。

 

そこで、ナラティブセラピーによって、問題の外在化が試されることになった。

それまでは、ニックは「自分自身が悪いんだ…」、

両親は「自分たちの育て方が悪いんだ…」というように、

それぞれが自分を責め、苦しんでいました。

 

セラピストはまずその問題「ニックの糞かトイレ以外のいたるところにおかれてしまうという問題」を「スニーキーフー(するかしこいフー)」と名付けます。

まるで、妖怪のせいにしたみたいですね。

セラピストは、問題に妖怪のような「名前」をつけることで、

「問題」からクライエントの人生と人間関係を切り離す作業=「問題の外在化」」を行った。つまり、問題はあなたたちの人生そのものではないので、まずはこの妖怪とあなたたちとの人間関係を切り離したのです。

 

そして次に、そのスニーキープーが、

両親やニックにどんな影響を与えてきたかを、みんなで明らかにしていった。

例えば、「プーのせいで…」ニックは友達がいない、

両親の夫婦関係が悪くなったなど、

「プー」という問題によって引き起こされた様々な影響を出し合っていったのです。

 

セラピーの詳細はここでは書きませんが、

このようにして、問題をニックや両親から切り離して、問題そのものについてみんなで考え始めたのです。その結果、問題は見事に解決していったのです。

ナラティヴセラピーの開発者として知られるマイケル・ホワイトは、こんな言葉を遺しています。

 

「人が問題ではなく、問題が問題である」

 

問題を自分自身と切り離し、みんなでその問題と対峙し、退治する。

問題の外在化は、妖怪ウォッチの世界観とよく似ています。

仕事における問題についても同じこと。営業の成果が上がらない、

クレームが増えている、不良品が増えている等々、

仕事上で起こる様々な問題も、担当者や上司が一人で抱え込んでしまうことなく、

問題を妖怪のせいにしながら(笑)、

みんなで問題について考え、みんなで退治(対峙)することが重要なのです。

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